よくある暦の勘違い
現代人は小学校で地動説をならいます。
ただし、小学校でならう地動説はいささか中途半端です。小学生の知識としては良いのですが、暦を考えるとき中途半端な地動説は間違った天動説より悪い結果をもたらすことがあります。
地球が太陽を一周公転すれば「1年」、地球が一回自転すれば「1日」。
こう思ってはいないでしょうか。
これは少なくても、「1年」や「1日」の定義として正しくありません。
どう正しくないのか示しましょう。
クイズです。「1年間に地球は何回自転するでしょうか」
「365回」と答える人が居るかもしれません。
より正確に「約365と1/4回」と答える人もいるかもしれませんし、少数で「約365.2425回」と答える人もいるかもしれません。
しかし、全員まとめて不正解です。
一日とは
正しくは「約366と1/4回」です。つまり1回分計算から漏れているのですが、この原因は、地球が一回自転すれば「1日」という定義の誤りのためです。
心静かに地動説を忘れれば、「1日」は見かけの太陽が一回りすることと思うはずです。何故、これが自転の周期と一致しないのでしょう。
実際、1日は24時間ですが、地球の自転周期は約23時間56分です。4分のズレがあります。
地球の一日は自転と公転の複合で作られます。地球がきっちり1回自転した時、公転により地球の位置が変わるため、見かけの太陽の位置が変わっており、あと4分自転を続けなければ、見かけの太陽が一周位置に戻らないのです。
一年とは
さて、では何故1年の定義は1公転でないのでしょう。
これも地動説を忘れて考えてみてください。1年とは季節が巡る周期です。見かけの太陽の高さが変わる周期と言っても良いでしょう。
それが公転の周期と一致しないので、地球が「歳差運動」しているからです。
地球の地軸は好転面に対して23.4度傾いており、これが季節を生じさせる元となっているのですが、歳差運動とはこの地軸が傾いている方向が約25800年かけて一周する運動です。25800年もかかるのなら無視してもよいのではと思われそうですが、確かにこれから生じる誤差は日常感じられる大きさではありませんが、無視できるほど小さくはありません。かつてユリウス暦があり、その誤差に耐えられずグレゴリウス暦が導入されましたが、歳差運動による誤差の量はユリウス暦の誤差の2倍ほどあります。